・・・適度な潤いを保つには、これまでは乳化性の革用クリームで水分と油分それに若干の蝋分を補うのが常套手段だった。これはこれで全く間違っていない。でも、もっと簡単で確実な方法が最近はあるのだ!
女性のお肌を守ると近年評判の「極潤α化粧水」を一、二ヶ月に一度、鞄全体に補給してあげるのだ。含有するヒアルロン酸かリポ酸の効能だろうが、革が内部からふっくらして、自然な艶が見事に甦ってくる。乾拭きも不要なので面倒臭がり屋さんでも大丈夫。小生の経験では、特に厚手のブライドルレザーやグラブタンレザーで効果絶大。騙されたと思ってやってみて!ただし、このお手入れはあくまである程度使い古した革鞄にのみ有効。新品はかえって逆効果になるので気をつけて!
「革が内部からふっくら」したのは、グリセリン、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヒアルロン酸の保水性によるものでしょうね。グリセリン入りの皮革用洗剤使用後、革のしっとり感がアップするのと同じ原理かと。
「自然な艶がよみがえる」のは何故でしょう? 普通のケア用品の場合、ロウが革の表面粗さ(デコボコ具合)を小さくして、光が色々な方向に反射し難くなるのが、艶の出る原理だと思いますが、「極潤α化粧水」にはロウに相当する表面残留物があるのでしょうかね?
<追記(2010/9/20) グリセリンがロウのように革を保護するそうです。(Carr & Day & Martinより)>
「極潤α化粧水」と、類似商品の「極潤ヒアルロン液」「極潤ヒアルロン液ライトタイプ」。化粧品の成分表示は多い順に書かれます。
成分
水、BG、グリセリン、ヒアルロン酸Na、アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)、チオクト酸(α-リポ酸)、キサントフィル(ルティン)、DPG、PEG-80水添ヒマシ油、PPG-10メチルグルコース、(スチレン/ビニルピロリドン)コポリマー、カルボマー、ヒドロキシエチルセルロース、TEA、EDTA-2Na、BHT、トコフェロール、サフラワー油、メチルパラベン
※BGとは、1,3-ブチレングリコールの略であり、グリセリンよりもさらさら感を得られる保湿性のある液状水溶性成分である。
http://kw.allabout.co.jp/glossary/g_cosme/w005679.htm
成分
水、グリセリン、加水分解ヒアルロン酸(ナノ化ヒアルロン酸)、アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)、ヒアルロン酸Na、PPG-10メチルグルコース、コハク酸2Na、ヒドロキシエチルセルロース、コハク酸、メチルパラベン
成分
水、DPG(ジプロピレングリコール)、エタノール、グリセリン、加水分解ヒアルロン酸(ナノ化ヒアルロン酸)、アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)、ヒアルロン酸Na、コハク酸2Na、PPG-10メチルグルコース、コハク酸、メチルパラベン
※ジプロピレングリコールとは、保湿剤・乳化剤・殺菌剤・溶剤として使われる化成品である。 ジプロピレングリコールは、化粧品の伸びすべりを良くし、保湿剤として用いられるべたつきが少ない多価アルコールに分類される水溶性のベースである。潤いを保ち、みずみずしい肌にするために用いる。
http://kw.allabout.co.jp/glossary/g_cosme/w005859.htm
「極潤」を買わなくても、自作化粧水で、十分じゃないでしょうかね。検索すれば色々ヒットしますが、例えば↓。
http://www.duty-co.jp/hada/lotion12.html
- グリセリン 3%
- ベタイン 4%
- エタノール 10%(なくても良い)
- 残りは水
http://blog.livedoor.jp/duty_blog/archives/910021.html
1種類を多量に用いるより、違う種類の保湿剤の組み合わせが、より高い保湿力が得られます。特に、ヒアルロン酸ナトリウムは単独で用いるより、グリセリンとの併用を勧めます。
寒い乾燥の季節には保湿強化が必要となりますが、ヒアルロン酸やグリセリンを増量するだけだとベタツキを感じることがあります。
ベタイン(アミノ酸系)はベタツキがあまりでない保湿剤ですから、保湿強化にはとても有効です。
市販の化粧品には数種類の保湿剤が組み合わされています。
http://www.duty-co.jp/faq/faq0058.html
<スミソニアン博物館の化粧水などのレシピ>
この配合率の化粧水は、現役の革製品には強すぎるでしょうから、グリセリンとエタノールは薄めた方が安全かと。
TREATMENT OF BRITTLE and/or DESICCATED LEATHER
The following treatments that involve the addition of lubricants have been used successfully on brittle and/or desiccated leather. Glycerol, which is soluble in water and alcohol, acts as a humectant for the leather.SMITHSONIAN GLYCERIN TREATMENT
59 percent glycerin (glycerol)
39 percent water
1 percent formaldehyde or 1% Dowicide (TM) 1
OR
25 percent glycerin
75 percent alcoholImmerse the artifact in the solution until the leather is pliable. (When an alcohol solution is used, it is difficult to determine when the leather is pliable because the alcohol makes the leather stiff.) Treatment may require several weeks. The treatment restores flexibility, but glycerin is hygroscopic and can support mold growth. In spite of this fact, the Smithsonian Glycerin Treatment has been used successfully.
Waterlogged leather recovered from excavations by The Museum of London is conserved in a solution of 30 percent glycerin and 70 percent alcohol (ethanol) for two weeks. The leather is then dried in three successive baths of acetone, each three hours long (glycerin is not soluble in acetone). Similar results can be achieved by using 10-40 percent glycerin mixed in 90-60 percent alcohol or water. Avoid using concentrated glycerin. While the solutions in alcohol can remove tanning agents, alcohol speeds up the conservation process and confers greater mechanical strength to the leather than will a water solution.
The glycerin treatment has also been applied to basketry, matting, sandals, etc. to restore pliability, quite often with disastrous results. It should be kept in mind that there is no reason to make something flexible or pliable if it was not particularly pliable in the first place. The glycerin treatment can be used in combination with PEG. To retreat any object that was conserved with glycerin, such as basketry, remove the glycerin with successive changes of alcohol baths.
BRITISH MUSEUM LEATHER DRESSING TREATMENT (BML)
200 gm (7 oz) anhydrous lanolin
30 ml (1 oz) cedarwood oil (acts as a fungicide)
15 gm (½ oz) beeswax (optional)
350 ml diethyl ether (B.P. 15-25°C) or 330 ml of hexaneHeat the first three items together (beeswax can be omitted, its function is to act as a polish) and then pour the molten liquid into the ether or hexane. Allow to cool while constantly stirring. Exercise extreme caution, as ether and hexane have low boiling points and are very flammable. Apply sparingly to the leather and rub well. Wait two days, then polish the treated leather with a soft cloth. Very hard leather can be soaked in a solution of one part BML: three parts Stoddards Solvent. BML darkens the leather, but it is a treatment with a good success record.
以下略
もろい and/or 乾燥した革の手入れ方法
以下のトリートメント(潤滑油を添加されたものを含む)は、もろい and/or 乾燥した革の手入れに成功してきました。グリセロール(グリセリン)は水とアルコールに溶け、革の湿潤剤として働きます。
スミソニアン・グリセリントリートメント
59% グリセリン(グリセロール)
39% 水
1% ホルムアルデヒド(有毒) or 1% ダウイシド1
OR
25% グリセリン
75% アルコール
革が柔軟になるまで、この溶液に文化財を浸します(グリセリン・アルコール溶液に浸した場合、アルコールは革を固くするので、革が柔軟になったかどうか分かりにくい)。この処理には数週間かかることがあります。また、柔軟性を修復しますが、グリセリンの吸湿性によって、カビが生えることがあります。こういう事実にも関わらず、スミソニアン・グリセリン・トリートメントはうまくいってます。
ロンドン博物館によって出土品から取り出された水浸しの革は、グリセリン30%・アルコール(エタノール)70%の溶液で2週間保存されます。次に、アセトン処理液で3度、各3時間かけて、革を乾燥させます(グリセリンはアセトンには溶けません)。グリセリンを10~40%、アルコールまたは水を90~60%の溶液を使っても、同じような結果になります。高濃度のグリセリンは使わないようにします。アルコールを使うと、なめし剤が取り除かれることがあるが、水溶液よりもアルコール溶液の方が、処理を迅速にし、革に力学的な強度を与えます。
このグリセリン・トリートメントは、かご細工品、マット、サンダルなどの柔軟性を修復するためにも使われてきました。悲惨な結果になることが多いですが。まず第一に、著しく柔軟性が無いものを柔軟にする理由が全く無いことを覚えておくべきです。グリセリン・トリートメントは、ポリエチレングリコールと一緒に使われることもあります。グリセリンで保護されたものを再処理するために、アルコール処理液を連続的に交換してグリセリンを取り除きます。
ブリティッシュミュージアム・レザードレッシングトリートメント (BML)
200 g (7 oz) 無水ラノリン
30 ml (1 oz) シダーウッドオイル (防カビ剤)
15 g (½ oz) ビーズワックス(入れなくても良い)
350 ml ジエチルエーテル(有毒) or 330 ml ヘキサン(有毒)
無水ラノリン・シダーウッドオイル ・ビーズワックスを一緒に熱して溶かし(ビーズワックスはポリッシュなので入れなくても良い)、ジエチルエーテルかヘキサンの中に注ぎ、かき混ぜながら冷まします。ジエチルエーテルとヘキサンは沸点が低く、引火性なので、十分注意すること。少しずつ革に塗ります。2日待ち、柔らかい布で革を磨きます。非常に硬い革は、BMLとStoddards Solventを1:3で混ぜた溶液に浸します。BMLは革の色を濃くしますが、実績の良いトリートメントです。
以下略
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