2010/01/10

皮革用石鹸

1/10/2010
 Non alkaline formula, non-aggressive for leather というユニークな皮革用石鹸である、クリーニング・リジェネレイティングソープ(Cleaning & Regenerating Soap)を輸入して欲しい。
※追記 Avel(アベル) ソープレザーファニチャー 200ml を2015年3月から扱い始めたようです。プラスチック容器の100mlではなく、缶の200mlですが。

 AVELから 直リンクされている Valmour 、つまり、AVELの公式見解を載せていると見なせる Valmour によると、サフィールのサドルソープはサドル用石鹸として「ADVICE」されており↓、
革靴・レザーソファー・レザー衣類・イミテーションレザーといった一般皮革用石鹸として「ADVICE」されているのは、クリーニング・リジェネレイティングソープ↓。





 肌と同じく、革も弱酸性↓。
保存状態の良い革は当然ながら弱酸性(pH 3~6)で、水分は 12~20 %、油脂分は 2~10 %含まれています。
http://archive.amol.org.au/recollections/2/2/03.htm


表1 中小牛皮より製造された靴用甲革の化学分析値
表1 成牛皮より製造された甲革の化学分析値

 肌は石鹸で洗っても弱酸性に戻る↓が、Lexol によると、革のアルカリ化=「なめし戻し」なので、Lexol は革にはサドルソープなどのアルカリクリーナーではなく、「少し酸性のクリーナー」を使うことを勧めている。
なお、肌のpH変化についてですが、弱アルカリ性の石鹸で洗っても、水で洗い流すと皮膚表面はほぼ中性近くまで戻ります。その後、酸性の皮脂や汗などが分泌されることで、肌は自然に弱酸性へ戻ります。皮脂や汗がほとんど出ないような状態のお肌であれば話は別ですが、特にトラブルの出ていない健康な肌であればアルカリ性の洗浄料で洗って肌がアルカリ性に傾きっぱなしになるようなことはありません。
http://www.live-science.com/check/checkexp/checkexp25.html

 一般的に、洗剤は、
アルカリ度(pH)が高いほど洗浄効率が上昇する
http://www.kasei-gakuin.ac.jp/library/kiyou/zenbun/47N2.pdf
が、アルカリ度が高くても洗浄効率が低かったり、弱酸性でも洗浄効率が高かったりすることもある↓ので、Lexolのクリーナーとサドルソープのどちらが洗浄効率が高いか、どちらが革や染料へのダメージが少ないかは、実際調べてみないと分からないでしょう。
【衣料用】 洗濯洗剤・柔軟剤・漂白剤 29ボトル目
http://www.unkar.org/read/changi.2ch.net/kankon/1260457435#l7


まず、原料や製法による洗浄力の違いについて。原料の配合や、保湿剤など添加物の工夫によって、その製品の洗浄力はさまざまに変化します。これは石鹸でも弱酸性ソープでも同じ。アルカリ性の石鹸だから洗浄力が強い、あるいは弱酸性ソープだから洗浄力がマイルド、と簡単に分けることはできないのです。
http://www.live-science.com/check/checkexp/checkexp25.html

 なお、サドルソープによって革がアルカリ化したとしても、現役の革製品そのものの寿命が激減するようなことはない↓と思われる。

 現役の革製品にサドルソープを使っても、害はほとんどないように見えるが、博物館の資料にサドルソープを使ったところ、使用前に比べてコンディションが悪くなったように見られる事例がよくある。
 サドルソープはアルカリ性であり、酸性である革にサドルソープが与える影響は重大な懸念である。もしサドルソープしか選択肢がない場合は、水の量を最小限に抑えることが重要です。こうすることで、革へのサドルソープの浸透を減少させ、サドルソープの潜在的悪影響を最小限にします。

 また、弱酸性洗剤は水と混ぜるとpHが変わる↓ので、特段、「弱酸性」にこだわる意味はないかも。(Lexolのマニュアルは、湿らせたタオルにクリーナーをつけて洗う or 原液を直接革に吹き付けて湿らせたタオルで洗う)
  • 石けん(粉末) A・B・C -水溶液のpH 10.37、10.42、9.67
    • Bの洗浄率が最も高く、次いでA、石けんCは極めて低い値であった。
    • 特に石けんCは、アルカリ剤が配合されていない無添加の石けんであるため、極めて低い洗浄率を示したものと思われる。
  • 複合石けん(液体) D・E -水溶液のpH 9.82、9.62
    • D・Eは、石けんC に近い洗浄力であった。
  • 弱アルカリ性粉末合成洗剤 F・G・H・I・J・K -水溶液のpH 10.10~10.30
    • H・J・Kは、ほぼ同様の洗浄力を示し、本実験試料の中で最も高い洗浄率であった。
    • H・J・Kは、pH値の高い3 種であり、洗浴のアルカリ度が洗浄力を左右する一因であることがうかがえる。更に、これらの合成洗剤には酵素、漂白剤が配合されており、これらが一層洗浄率を高めたものと思われる。
  • 弱アルカリ性液体合成洗剤 L・M -水溶液のpH 7.93、8.63
    • Lの原液はpH 8.70であるが、水溶液はpH 7.93の中性であり、洗浴のアルカリ度が低いこと、また、漂白剤が配合されていないことなどが洗浄力に影響を与えているものと推察される。
  • 中性液体合成洗剤 N・O・P -水溶液のpH 7.67、7.88、7.59
    • Nの洗浄率は極めて低い値であった。Nの用途表示は、綿・麻・合成繊維となっており、中性の洗剤でこれらの繊維を洗う新しいタイプの液体合成洗剤であるが、本実験結果からみると洗浄力の点から適当ではないと思われる。
    • O・Pは、毛・絹・綿・麻・合成繊維用となっているが、綿・麻・合成繊維の洗濯には、10℃以下の冷水での洗濯の際に活用すれば効果的であると思われる。
  • 弱酸性液体合成洗剤 Q -水溶液のpH 7.67
    • 敏感肌のために作られた新しいタイプの洗剤であり、用途表示は、綿・麻・合成繊維用となっている。原液はpH 5.07 の弱酸性であるが、水溶液はpH 7.67 となり、水道水での洗濯では、弱酸性としての意味はほとんどないものと思われる。しかし、部分洗いなどで原液を使用する場合には直接手に触れるため、敏感肌用としての弱酸性の効用はあるのではないかと推察される。
    • 洗浄率は、弱アルカリ性合成洗剤のI・Mに近い洗浄力を示しており、特徴的なことは洗浄温度8℃の洗浄率が試料の中で最も高いことである。従って水温10℃以下の冬場の洗濯にはふさわしい洗剤といえる。

最近の市販洗濯用洗剤の動向-洗浄力を中心に- | 東京家政学院大学紀要 第47号 2007年

市販洗濯用洗剤の洗浄率

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