Turning a beef hide into leather | Farmers Weekly (2016/11/24)
牛皮から牛革へ
農業界は農産物の出荷後に起こることについて以前にも増して話題にするが、肉業界の副産物についてはどうでしょうか?
「質の悪い皮は質の悪い革に仕上がるので、もし貴方がタンナーなら、発育が良く、健康的な原皮が欲しくなるでしょう」とベイカーの社長は語った。ベイカーの原皮は全て地元産だ。
社長は働き出して38年になるが、以前は彼の祖父が経営していた。
ベイカーはデヴォン州コリトンにある英国に唯一残る伝統的オークバークタンナーで、高級シューメイカーとサドラーに丈夫で耐久性のある革を供給している。
ここにはローマ時代からタンナーがあった。1862年にベイカー家が買収し、鞣し業を続けている。
原材料
オークの樹皮は樹液が流出する春夏に最も簡単に剥がせる。ベイカーが使っているオークの樹皮の大部分はウェールズ産かイングランド北西部の湖水地方産だ。
十分成長したオークの樹皮と定期的に伐採(萌芽更新)したオークの樹皮を使っているが、後者の方がタンニンを多く含んでいるので好ましい。
オークバーク以外では、クロムといった鉱物やミモザやチェスナットといった他の木など、沢山の物が鞣しに使うことができる。
しかし、オークバークで鞣すと本当に頑丈な革になる。社長がそういう革を作りたいのは、最高級の馬具、靴市場にそれを供給するためだ。
ベイカーが英国に唯一残るオークバークタンナーのため、オークバークの仕入れでは競争相手はほとんどいないのだが、オークの樹皮を剥がす仕事を価値あるものにするために、相応の支払いをしなければならない。
オークバークは毎年12トン届くのだが、完全に乾燥させ、簡単にタンニンが抽出できるようにするために、少なくとも3年間寝かせる。
タンニン抽出工程は社長によると、「紅茶を作るのによく似ている。違いは冷水を使うこと」 そして時間がかかる。夏場で約1ヶ月、冬場は6~8週間ほど。
水と樹皮を混ぜることから始まり、タンニン水溶液と樹皮のカスで終わる。樹皮のカスは堆肥として使われる。
皮を鞣す前に、毛と脂肪を取り除かなければならない。
皮は毎週または隔週でイングランド南西部の食肉処理場から届き、すぐに12ヶ月の製革作業が始まる。
ベイカーは大きいヨーロッパ肉用牛の皮を使っている。乳用牛を使わないのは、妊娠と寛骨によって皮が伸びるからだ。
脱水、保存のために塩漬けされた皮を、まず24時間洗浄し、その後、2%の石灰水に2週間漬ける。
石灰水が毛根と脂肪を分解し、フレッシングマシンによってそれらを取り除く。
ベイカーによると、石灰水のみでやっているのはベイカーが最後だろうと。今日、大抵のタンナーでは石灰水に硫化ナトリウムを混ぜているが、社長が皮の天然の繊維構造をそのまま残したいために、可能な限り最も穏やかな脱毛工程を望んでいる。その結果、潜在的な強度を十分に引き出した丈夫な革になる。
鞣し
毛と脂肪が取り除かれた皮は「pelt」と呼ばれる。夏場なら2週間ほどかかるのだが、これを乾燥させたら、72個のピット槽での鞣しが始まる。
各ピット槽には皮が12または24枚入る。タンニン濃度の低い槽から始め、時間をかけて濃度を上げていく。
「料理みたいなものだ」と社長は説明した。「いきなり高温で調理したら、外側には火は通るが、中には火が通らないだろう。濃度を徐々に上げていけば、皮全体が均等に鞣される」
3ヶ月間ピット槽で皮は吊り下げられ、その後、樹皮そのものとタンニン溶液が入ったレイヤードピット槽に移る。
樹皮そのものを入れることでタンニン濃度を維持し、9ヶ月を経て、革になる。
しかし、永遠にピット槽に入れ続けることもできるだろうし、そうすることで腐ることもないだろう。もし需要が無いのなら、社長が必要になるまで鞣し続けることができるという意味において、農業とは違い、皮革製造業は贅沢な仕事である。
乾燥
乾燥部屋は一年中暖められており、鞣し終わったら、ここで吊り下げて乾燥させる。この段階で革の用途が決まる。
馬具用は油(しばしば魚油)とグリースが塗られるが、靴用はローラー掛けされる。
ローラー掛けすることで、繊維が圧縮され、より硬い革になり、耐水性が増す。「靴用は磨耗に強い革、馬具用は引っ張りに強い革を求めている」と社長は語った。
伸ばし
伸ばし工程では、皺を押し出して革を伸ばす。その後、オイル掛けされ、再度伸ばしを繰り返す。
この一連の工程が終わると、オークバーク由来の「ラセット」色ではあるが、着色はまだされてはいない。馬具用ハーネスといった強度が必要な革は、温めた油脂に漬けて強度を上げる。
革の部位が違うと用途も変わる。原皮1枚を、ショルダー1枚、ベリー2枚、バット2枚に切り分ける。(注 ベイカーではバット=ベンズとしているようだ)
首と足の付け根回りには、波紋(トラのこと?)がある。
このような部位は、普通ショルダーなのだが、革製品業界に行き、例えば財布やスキットルケースになる。
ラセット色の革はシェービングマシンで厚さを均一にされた後、着色される。最も伝統的な色はロンドン色である。
仕上げ
出荷前の仕上げ部屋は茶色の小屋と呼ばれている。ここでは「カリアー」と呼ばれる仕上げ職人が革にダビンを塗り仕上げる。
ダビンは魚油と羊脂の混合物で、ブラシで塗られる。また、光沢仕上げには、ガラスのグレージングマシンが使われる。
供給
銀付きロンドン色のバット(=ベンズ)は145ポンド、ハーネスバック2枚(ベリーを除いた1頭分)は350ポンドで売られている。
社長は現在、原皮1枚に64ポンド払っている。18ヶ月前に10ポンド安くなったとは言え、10年前は1枚34ポンドだったのだから、原皮は随分高くなってしまった。
出荷部屋は茶色の円筒状梱包容器で一杯なのだが、ドバイ、オランダ、日本といった発送先もあって驚いた。
たくさん輸出されており、ブレグジットによるポンド安の恩恵と見えるが、国内需要もある。
ベイカーが供給したシューメーカーの価格表をネットで見たところ、一足数千ポンドもした。そういうわけで、社長の仕事用ブローグシューズにはベイカーの革が使われていないのだろう。
社長に尋ねたところ、ベイカーの革を使った靴は持っており、1982年から履き続けている、靴底は交換されているが、今なお現役だ、と。「飛行機に乗って旅行するときはいつもこの靴を履いている。一番快適な靴だ」
Google翻訳の精度向上が最近話題ですが、精度は分野によるのかな?(この記事の自動翻訳)
2 Comments:
初めまして。
初めまして。ブログ大変興味深く、拝見させて頂きました。私も革の業界に携わる端くれなのですが、もしよろしければ、直接お話をお伺いすることなどできますでしょうか?よろしくお願いします。可能であれば、下記Gmailまでご連絡いただければ幸いです。
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