(1) 米国にあったカーフスキンのタンナー
委員会の結論と考察
・・・本委員会は、AFL-CIO(労働組合)の嘆願書に応えて、貿易協定の譲歩(関税の引き下げ)によって、オハイオレザー社が作っていたカーフとキップの甲革と競合する革の輸入量が増加したために、オハイオレザー社の従業員が失業したのかどうかを、1972年4月4日に調査し始めた。・・・
・・・オハイオレザー社は1900年代初期創業で、甲革に適したカーフとキップの皮を買い、紳士婦人靴用の革を売っていたが、1971年後半に工場が閉鎖され、従業員は一時解雇された。
1960年代終わりから1970年代初め、オハイオレザー社は、カーフとキップ専門の他の米国タンナーのように、カーフとキップの国内需要の減少、国内消費量の著しい減少という深刻な影響を受けていた。それに伴い、革の価格も低下した。カーフとキップの甲革の国内消費量は、1968年の7500万sqftから1971年の4100万sqftへと46%減少した。この国内消費量の減少は長期的に続いており、1971年の国内消費量は1950年代初期の国内消費量の1/3に減少した。・・・主に需要の落ち込みの結果、カーフとキップの甲革の国内価格が近年暴落した。カーフの価格は、1966年は1.22ドル/sqft、1968年は90セント/sqft、1969年は98セント/sqft、オハイオレザー社が閉鎖した1971年は79セント/sqftであった。
カーフとキップの消費量が近年激減したことは、国内生産量と輸入量に影響し、両者とも激減した。カーフとキップの消費量が減少した主な原因は、それらを使った靴の国内製造が衰退したからだった。・・・カーフとキップを鞣していた他の米国タンナーは、カーフとキップ以外の鞣しに業態転換することで壊滅的な市場を生き残ったが、オハイオレザー社はそうしなかった。・・・
以上より、本委員会は、カーフとキップの甲革の輸入量が増加したことが、オハイオレザー社の従業員が失業した主な原因ではなかった、という結論に達した。
調査で得られた情報
・・・カーフは数日から数ヶ月の牛の皮を、キップはカーフより成長しているが、完全には成長しきっていない牛の皮を鞣したものである。カーフはキップより肌理が細かく、しなやかで、より重要な商品である。成牛革は、オハイオレザー社は作っていないが、米国で使われている甲革の90%を占めている。成牛革はカーフやキップより肌理が荒く、硬く、より少ない労働力で鞣すことができ、安い。・・・
カーフとキップの大部分は紳士靴と婦人靴に使われており、1足25ドル以上で売られている。また、少量ではあるが、婦人用鞄、財布、ベルトにも使われている。カーフとキップは簡単には傷がつかなく、磨けば簡単に修復できるので、特に甲革に向いている。成牛革は広範囲の価格帯の靴の甲革に主に使われており、中には、25ドル以上する靴もある。・・・
カーフとキップの国内消費量は、1967年の5900万sqftから1968年の7500万sqftに増加し、1971年の4100万sqftへと激減した。国内消費量の減少の主な原因は、(1) 革靴の生産数が減ったため、(2) カーフを使ったドレッシーな婦人用パンプス等から、成牛革を使った丈夫なブーツやシューズに流行が変わったためだった。・・・
カーフとキップの国内生産量は、1967年の4200万sqftから1968年の4500万sqftに増加し、1971年の1700万sqftへと激減した。・・・
カーフとキップの輸出量は、1967年の97.6万sqft(生産数の1.4%)から、1971年の120万sqft(生産数の6.7%)へと増加した。・・・
カーフとキップの輸入量は、1967年の1800万sqftから1969年の2900万sqftに増加し、1971年の2100万sqftへと減少した。国内消費量に対する輸入量の割合は、1967年の30%、1969年の46%、1971年の51%へと増加した。主な輸入元はフランス、イタリア、西ドイツだった。消費者によると、カーフとキップの輸入品、特にフランス製は、国産より傷が少なく、使用可能面積が大きいということだった。
1967年にはカーフとキップを主に鞣しているタンナーが10社あったが、1971年には4社になった。・・・1972年、オハイオレザー社が閉鎖されたので、残りはA. F. Gallun & Sons Corp., A. C. Lawrence Leather Co., Barrett & Co.の3社になった。・・・
European Calfskinは、傷つかないように屋内で育てた子牛の皮から作られている、と。
The upper leather is rare, luxurious European Calfskin, from the hides of young calves grown indoors to protect the skin from scratches and briars.
Ortho-Vent Shoe Company, Inc., Spring and Summer 1966
(2) Barrett & Company (?年~?年)
アルパイングレインカーフ
Hanover vs 米国で最も有名なメーカー(Florsheim?)
10ドル強の販売キットを無料で提供するので、Hanoverのカタログを10人に配ってくれる人を募る求人広告。カタログを配るだけで、営業する必要なし。Florsheim?と同等の靴がほぼ半額で買えるという訴求効果が、営業不要の秘訣だとか。歩合のほかに、10足売れれば無料で1足もらえるというボーナス付き。
米国で最も有名なメーカーの1つに挙げられる某社が作った靴は39.95ドルで売られている。一方、同型同質、かつ、長所が2つあるハノーバーの靴は、たった22.95ドルで売られている。両社の靴を比べてみよう。
- アッパーレザー ・・・ 両社ともBarrett社のアルパインフルグレインカーフスキン
- ライニング ・・・ 両社ともフルレザーライニング
- アウトソール ・・・ 両社ともタンニン鞣しのフルグレインレザーソールで、同質かつ同厚
- ヒール ・・・ 両社ともVクリート付きレザーヒール
- インソール ・・・ 両社とも本革だが、ハノーバーのみアウトソールとインソールの間にクッション入り
- スチールアーチサポート ・・・ 両社ともスチールシャンクだが、ハノーバーのみアーチクッション付き
- レザーストームウェルト ・・・ 両社とも革製の360度ストームウェルト
- 紐 ・・・ 両社ともCordo-Hyde社の紐
- フィット ・・・ 両社とも同じラストメーカーの同じウッドラスト
BARRETT'S ALPINE | United States Patent and Trademark Office
The upper leather is Barrett's Alpine Calf, a soft, mellow leather that grows more beautiful with age.
Ortho-Vent Shoe Company, Inc., Spring and Summer 1966
ラマグレインカーフ
LLAMA | United States Patent and Trademark Office
Deadstock 1960'S WEYENBERG MASSAGIC 2590 V-TIP Made in USA 箱付 | Luby's
(3) A. C. Lawrence Leather Company (1894年~1986年)
カーフスキンとラムスキン
NOS vintage brown leather cap toe Weyenberg "Massagic" Shoes...unworn! | eBay
(4) A. F. Gallun & Sons Company (1885年~1993年)
The Milwaukee Sentinel - Dec 28, 1952
VEGETABLE TANNED
- Norwegian Calf ・・・ カジュアルシューズ用のハンドボーディング加工した革
- Normandie Calf ・・・ ドレスシューズ用のハンドボーディング、グレージング加工した革
- Cretan Calf ・・・ ドレスシューズ用の丈夫ではあるが柔らかい防水革
- Eskimo Calf ・・・ カントリーやスキーブーツ用の丈夫な防水革
CHROME TANNED
- Milwaukee Calf ・・・ 婦人靴用の柔らかい革
- Domino Calf ・・・ 柔らかいけど型崩れしないマット仕上げのスムーズレザー
- Mandarin Calf ・・・ 紳士ドレスシューズ用の光沢仕上げのスムーズレザー
- Clyde Calf ・・・ ラギッドな光沢仕上げのスムーズレザー
(5) B. D. Eisendrath Tanning Company (1886年~1965年)
Mens Brocktonian 50s VTG Plain Shoes Puritan Veal Brown Leather 8 Deadstock USA | eBay
0 Comments:
コメントを投稿