2011/01/29

Horween Leather Company

1/29/2011





(1) オールデンのコードバンは質が良い?
 Nick Horween「どこでも同じ」

 <追記(2011/4/30) 一方、オールデンは↓。>
ホーウィン社との強く固い信頼関係。
 〈オールデン〉といえばコードバン、というイメージを持つ人が多い。それはアメリカで唯一コードバンをなめすことができるホーウィン社との長く密接な関係にある。社長のターロウ氏はこの件に関して、「確か’70年代でした。シェルコードバンを使っていたメーカーがホーウィン社と取引しなくなって経営が厳しくなったんです。もうコードバンを作る価値がないと踏んだのだと思います。そのとき私の父がホーウィン社に言ったんですよ。「私たちがどれだけシェルコードバンを買えば、あなたのビジネスは継続できますか」ってね。私の父はものの価値にとらわれることなく、シェルコードバンを使えば優れた商品を作れるのを知っていたのです。今は多くの会社がホーウィン社のシェルコードバンを使いたいと思っていますが、彼らはきっと私たちの関係を第一に考えてくれていると信じています」と語る。〈オールデン〉が自らシェルコードバンを作っていると思っている人もいまだに多いとか。
 ’70年代はドレスシューズが変革期を迎え、確かにコードバンの需要が減っている。今でこそ高級品として扱われているコードバンも、昔はカーフと同様の価値しかなかった。ソールに使われることもあったというほど、貴重な素材ではなかったのだ。コードバンとは馬革の尻部分のこと。昔は大きくて強靭な尻をもった農耕馬を使っていたため、量も豊富だった。それが車産業の発達とともに農耕馬が激減し、欧州の食用馬を頼るしかなくなった。食用には若くて小さな馬を使うため、必然的に革は薄く、小さい。その結果、コードバンは希少で高価なものと認識されるようになったのである。だが、〈オールデン〉は、価値にこだわらず素材のクオリティにこだわっていた。ただ、こうした思い切った戦略が立てられたのは、〈ブルックス ブラザーズ〉の靴の生産という安定した供給が見込めたからなのだ。

〈ブルックス ブラザーズ〉とアイビーギルド
 〈オールデン〉と〈ブルックス ブラザーズ〉の関係は、1920年代には始まっていた。もともと〈オールデン〉は〈ブルックス ブラザーズ〉の子供靴を生産しており、後に紳士用の靴を作るようになった。象徴するタッセルローファーを作り始めたのは、’50年代に入ってから。ちなみに’70年代は、カーフとコードバンの靴の価格は当時でわずか3ドル程度しか違わない。〈オールデン〉は〈ブルックス ブラザーズ〉という強力な後押しに助けられていた。そして〈オールデン〉が確かな地位を築いたのにはアイビーギルドの存在もあった。
 ターロウ氏の父は若い頃、洋服店や靴店を訪れては販売契約を結んでいたのだが、そこで〈サウスウィック〉など、アイビースタイルを代表する数々のブランドの営業に出会った。彼らは互いの商品に対して敬意を払っていたため、協力しあうようになる。この非公認の組合はアイビーギルドと呼ばれた。彼らは互いの取引先を紹介し合うことで、どの店にも同じブランドの商品が並ぶようになった。アイビースタイルが確立されたのはこの影響が大きいといえる。
Brooks Brothers


(2) コードバンの生産量は年々低下しているので、入手困難になりつつある?
 コードバンは60年代に廃れたので、ピーク時より激減したのは確かだが、ここ20年の生産枚数の変化なし。
  • ピーク時:月産 44,000 枚
  • 1991年:月産 4,000 ~ 5,000 枚
  • 2003年:月産 4,000 枚
  • 2008年:週産 1,000 枚(牛革の週産 3,000 枚)
  • 2012年:月産 6,000 枚
It`s a trade that now has little competition. In the 1960s, when cordovan went out of fashion, other tanners gave up the six-month process. But the tradition at Horween continued, and the firm is now the only U.S. tannery turning out this valued commodity. In fact, aside from a tannery in Japan that produces a small amount, it is the only such tannery in the world. Horween now turns out 4,000 to 5,000 pieces a month, compared to 44,000 at its peak.
 「ピーク時は1週間に1万シェル以上を生産していましたが、現在では1ヵ月に約4千シェルぐらいの生産量です」
 農耕馬の消滅などで原皮が圧倒的に減少。また食肉用馬の幼い原皮がほとんどで、かつてのような肉厚かつ大きなシェル・コードヴァンは難しくなったとアーノルド社長は話す。

LAST vol.2, エスクァイアマガジン, 2003

Today, Horween Leather's 150 unionized employees process 3,000 cattle hides and 1,000 horse hides a week, yielding 120,000 sq. ft. of leather and, over a year, about $25 million in revenue.
The cordovan business has expanded across the different generations. The peak of our cordovan business was probably about 50 years ago. We were the only ones doing it at that time and we were running about 11,000 shells a week. Right now, we are running about 6,000 a month, and we are the biggest that’s left, globally, doing that.

Chicago Production Raw Quality | December, 2012


 もっと作りたいが、原皮の確保が難しいみたい。
The shortage is real, although it has been worse recently than it has been for 15-20 years. In the most condensed version, years ago pre- car and tractor there was a plentiful supply of horse hides, primarily draft animals. That supply has diminished over time. For our business, and the cordovan production, we prefer only the largest hides available, as it takes just as long to produce a small cordovan shell that is not ideal size-wise for shoes as it does to produce a large one. The issue in a nutshell is not enough suitable hides—we have capacity available (not unlimited but more than we are currently making). The hide we use comes primarily from France where horsemeat is still consumed though I am told less than before, and so to add insult to injury the weakening dollar will also drive the shell price up substantially at least in the short run. Hope this helps and feel free to ask any further questions.
Thanks and all the best---Skip Horween


 原皮不足は本当の話です。ここ最近は、過去15~20年間よりも、さらに悪くなっています。
 簡単に話しますと、車やトラクターがなかった時は、馬革(主に役畜)が豊富に供給されていましたが、その供給も徐々に減っていきました。コードバンの生産において、我々は手に入るものの中で一番大きい原皮のみを選んでいます。靴には向かない小さいコードバンをなめすのにかかる時間と、大きいコードバンをなめすのにかかる時間は同じだからです。簡潔に問題点を書きますと、適切な大きさの原皮が十分に手に入らないのです-我々はコードバンをもっと作る余力があります(無限ではありませんが、現在の生産量以上を作れます)。
 我々が使っている原皮は主にフランスから来ます。フランスでは、馬肉がまだ消費されていますが、以前に比べて消費量は減っていると聞いています。また、ドル安によって、少なくとも短期的に原皮価格は大幅に上がるでしょう。


(3) その他
 主力製品はフットボールレザーで、コードバンは10~15%ほど。
We’re very well known for our Horween Genuine Shell Cordovan, but this accounts for only about 10% of our production.
While Horween’s reputation may come from cordovan, it represents only 15 percent of its business. Its bread and butter is football leather, which makes up a third of its production, the largest single segment of the business. It is the inspecting, baiting, pickling, tanning, shaving, grading and embossing of football leather that keeps most of the 130 employees busy.





追記(2012/11/9)

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