By Request – What’s the Difference? | Horween Leather Company
何が違うのか?
しばらく前の記事で、何か知りたいことがないかと尋ねたところ、 Jason と Chris から特にホースハイドについて詳しく知りたいとコメント頂きました。そこで、馬革と牛革に関して、主な特徴と思われることに関して書こうと思います。また、ホーウィンが加工している他の革との違いも説明しようと思います。
ホーウィンが扱っている革の多くは牛革です。私が言う牛革とは、ほぼいつもステアハイドのことを意味します。というのも、ホーウィンは一番重く厚い原皮を主に買っているからです。原皮には以下のような種類があります。
- ステアハイド-食肉用畜牛のほとんどは去勢された雄牛です。去勢されていない雄牛が大牧場用に去勢されます。
- ブルハイド-去勢されていない雄牛は、より大きく厚い皮で、肩周りに大量の皺があります。
- カウハイド-軽い皮で、経産牛のため腹周りの繊維は緩んでいます。つまり、柔らかい繊維構造なので伸びやすい。ステアより長く生かされるので、治った傷や虫刺されなどの天然の傷跡が目立ちます。
- ヘファー-未経産牛のため、経産牛より腹回りの皮は厚い。
この分類はさらに細かく分類されます。ホーウィンが買っている原皮は Heavy Native Steers (HNS) と Butt Branded Steers (BBS) で、それぞれ重量で等級付けされています。HNS と BBS の主な違いは焼印の数です。HNS のロットは所定の平均重量通りに販売されており、焼印のある原皮は5%以下で、一番良い原皮と一般的に見なされています。
仔牛の原皮はステアハイドやカウハイドに比べると小さくて軽い(薄い)。ステアハイドとカーフスキンの大きな違いは銀面で、カーフスキンの方がきめ細かい銀面をしています。「良い」ではなく「きめ細かい」とわざと言っているのは、単に違うだけだからです。私は、銀面のみを基準にして、一方が他方より必ず良いと言うことはしません。製造者から見れば、ステアハイドは良い革です。
ホーウィンはアメリカバイソン(バッファロー)も扱っており、ステアハイドと同じように思うでしょうが、全く違います。アメリカバイソンの皮は脂肪を多く含んでおり、特に背中の天然の瘤のところに、薄くて軽いポケットのようなものがあります。また、ごつごつした動物のため、天然の皺がたくさんあります。アメリカバイソンは畜牛とは違う育ち方をします。
ホースハイドとステアハイドには大きな違いがあります。ホースハイドは銀面が粗く、ホースハイド同士で比べても重さが大きく違い(軽かったり薄かったり)、摩擦に強く、繊維構造が異なっており、天然の傷跡が目立つので歩留まりが悪い。一方、ステアハイドは、ステアハイド同士で比べても重さや使用可能面積はほぼ同じなので歩留まりが良く、また、入手もしやすい。
ホーウィンでは、ステアハイドは左上のように半裁(side)し、ホースハイドはホースフロント、ストリップ、シェルの3分割にしています。ストリップとシェルはピット槽を使ったフルベジタブル鞣しで、ホースフロントはフルベジタブル鞣し or 混合鞣しです。ホースフロントは、front quarter horsehide (FQHH)、double horsefront (DHF)、single horsefront (SHF) とも呼ばれています。ストリップは、bark strip、russet horsehide strip、natural horsebutt strip、north of cordovan とも呼ばれているのですが、ホースフロントよりも厚く、1.6 mm ~ 4 mm あり、変な形をしていますが素晴らしい革です。ホースフロントが伝統的にジャケットに使われてきたのは、丈夫で薄く、ジャケットに向いているからです。ステアハイドより軽く薄いカウハイドもジャケットに向いています。
この接写で、銀面の違いが良く分かると思います。シェルは銀面が無く、ストリップは肌理が粗く、はっきりとしています。両側のステアハイド(Latigo、Gray Essex)の肌理はストリップよりは細かいけど、それでもはっきりとしています。シェル以外全て、銀付き革です。
この記事の元となった質問の本質は、ホースハイドは一番良いジャケットになるか?、ということでしたが、その答えは人によります。私が言えることは、靴と同じように、革が変わるとジャケットも変わるということだけです。使用目的によって革と鞣し方は変わります。特に、鞣し方は一番重要です。
ステアハイド
Single Bend, 9-10 square feet, $190 (1デシ 2.2ドル)
Single Shoulder, 5-6 square feet, $98 (1デシ 1.9ドル)
Brown 4oz (1.6mm) Chromexcel Hides | Fine Leatherworking
Cavalierは油脂分を抑えたChromexcel
Navy Cavalier 4-5oz (1.6-2.0mm) Sides Chromexcel Seconds
Derbyはフルベジタブル鞣しのEssexをワックス&タンブル加工したもの
ホースハイド
Full Single Horse Front, 11-16 square feet, $195 (1デシ 1.6ドル)
Brown 2-3oz (0.8-1.2mm) Chromexcel SHF (single horse front) Leather Hides | Fine Leatherworking
Black 2-3oz (0.8-1.2mm) Chromexcel SHF (single horse front) Leather Hides | Fine Leatherworking
ストリップとトラを生かした財布
Horse Hide, A Newbies Opinion **lots Of Pics** | Leatherworker.net
アメリカバイソン (参考:アメリカバイソンvsバッファロー)
Tobacco Brown 8-9oz (3.2-3.6mm) Buffalo, American Bison Leather Hide | Fine Leatherworking
厚みの違い
ホースフロント 0.8 – 1.2 mm
ステアハイド 1.4 – 1.6 mm ~ 3.6 – 4.0 mmCHROMEXCEL | The Horween Tannery
左:ホースフロント 0.8 – 1.2 mm
右:ステアハイド 1.6 mmBrown 2-3oz (0.8-1.2mm) Chromexcel SHF (single horse front) Leather Hides | Fine Leatherworking
断面
革は鞣し(なめし)の方法で堅さが違いますが、動物によっても繊維の細さや緻密さが違うので堅さやしなやかさも違ってきます。上の写真は牛革と馬革の断面写真です。馬革のほうが細い繊維が絡み合っているのがわかります。
見た目の違い(エアロ創業者の娘さんによる解説)
Horween USA and Aero Leather Joint Statement | The Fedora Lounge
FQHH は平均 10 スクエアフィート、Heavy Steerhide は平均 23 スクエアフィートなので、裁断前ならば FQHH と Heavy Steerhide を見分けるのは簡単です。
しかし、裁断した場合、皮革に精通した知識無しで両者を見分けるには、銀面と重さの微妙な違いを調べるしかありません。
Horween USA and Aero Leather Joint Statement | The Fedora Lounge
上から、
- UK製 Mid Weight Horsehide:厚さ 1.1 mm、重さ 57 g (30cm×30cm)
- Horween Chromexcel Front Quarter Horsehide:厚さ 1.3 mm、重さ 85 g (30cm×30cm)
- Horween Chromexcel Heavy Steerhide:厚さ 1.8 mm、重さ 139 g (30cm×30cm)
価格の違い。上掲の店 Fine Leatherworking では、ステアハイドは1デシ 約2ドルに対して、ホースハイドは1デシ 1.6ドル。
Horween USA and Aero Leather Joint Statement | The Fedora Lounge
ステアハイドはFQHHより若干高い革なのですが、ステアハイドは傷が少なく、歩留まりが良いため、最終的には、ステアハイドはFQHHより安いジャケットになります。・・・
ホースハイドの裁断が非経済的なのは、革の面積のせいです。ホースハイドは約 11 スクエアフィートなのに対し、ステアハイドは約 26 スクエアフィートです。ステアハイドと違って、ホースハイドの端は大変薄くなることがよくあり、廃棄率が高めです。また、大きいジャケットを裁断すると、残りが小さく使えないため、ますます廃棄率が高くなります。同面積で裁断効率を比較すると、ステアハイドは5~6着に対して、ホースハイドは4~5着くらいです。・・・
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